抄録
対面事態での相互作用は一種のコミュニケーション・メディアの形態であると考えて, その特性を他のメディアと比較することによって検討した。
第1実験では「学生生活」をテーマとするインタビュー事態が設定され, 面接者は対面, TV電話, 電話の各メディアを用いて未知の被験者と面接した。実験結果からは, 対面の場合面接者が必要とする情報を集めるまでの時間が他のメディアと比べて有意に長かった。また, TV電話・電話を用いた場合にはインタビーへの乗りの悪さがみられた。
第2実験ではディセプションの巧拙に関わる問題をメディアの点から検討した。被験者は作業中に入室してきたサクラ (対面条件), またはかかってきた電話 (電話条件) によって実験目的を知らされる状況に置かれ, その影響は実験者が現われるまでの待ち時間として操作された。従属変数は第1回目と第2回目の作業量の差であった。実験結果からは, メディアの相違は作業量の増減の方向として示された。
また, 対面条件ではディセプションに疑惑を示す被験者が多かったが, その影響は電話条件にのみ有意であった。