本研究は,教員の仕事の時間量と内容を調査し,教員の属性別に分析することにより,教員組織から捉えることのできる学校組織の運営上の課題を明らかにすることを目的とした.ある単位制高校において教員7名を対象とし,2週間にわたり各教員に仕事の時間帯と内容の記入をワークシートに求めた.それに加え,インタビューを行い,ワークシートの記述内容を補いながら,教員の学校業務に関する認識を捉えた.分析の結果,教員の属性の相違(一般科目担当/専門科目担当教員)によって仕事内容に違いがあるとともに,学校組織運営上の課題に対する認識の差異が明らかとなった.これは調査高校において,専門学科という枠により教員の仕事が規定されている可能性を示唆している.これらをもとに,学校組織運営上の課題を図として示し,課題と学校組織を構成する様々な要素との連関を検討することによって,課題改善のための基礎的資料とした.