本研究では,人間が行うレポート評価の系列効果による評定値のばらつきを低減するツールの開発と評価を行った.系列効果とは,それまでに読んだレポートの質によって評価者の判断が必要以上に影響を受けることである.本ツールは,潜在意味分析で求めたレポート内容の類似を,多次元尺度法によりマップ状に可視化する.評価者は,マップを参考にして内容が類似したレポートをまとめて読解・評価できる.ツールの有効性を検討するため,レポート評価にツールを用いた群とそうでない群とで,評価項目ごとの評定値の分散を比較した.その結果,[テーマに特徴的な単語が使われている],[内容に一貫性がある],[総合評価]の3項目において,ツールを用いた場合の分散がそうでない場合より有意に小さくなった.以上より,本ツールが有効であるレポート評価の側面が明らかになった.