2010 年 34 巻 1 号 p. 55-66
本研究では,大学情報教育においてブレンディッドラーニング環境を整え,その受講者を対象にeラーニングシステムを介して毎時間出題される課題の成績とそれに対する教員からのコメントを開示するフィードバックを構築した.そして,受講者の,1)eラーニングシステムの利用状況とそれに対する認識,2)自己調整学習と自己効力感,3)授業の成績,4)課題や成績に対する意識,5)授業の満足度などに着目し,フィードバックの有無がこれらにどのような影響を及ぼすか分析を行った.共分散構造分析を用いてこれらの因果関係について分析を行った結果,フィードバックの有無はeラーニングシステムの利用と授業の成績に直接的な影響を与えるとともに,eラーニングシステムの利用が課題や成績に対する意識に影響を与えることが分かった.さらに,課題や成績に対する意識が自己調整学習に影響を与え,その結果,自己効力感が高まり,これが授業の成績に直接影響を与えるなどの因果関係が明らかになった.