日本教育工学会論文誌
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ルーブリックの提示が学習者に及ぼす影響のメカニズムと具体的事例の効果の検討(<特集>新時代の学習評価)
鈴木 雅之
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2011 年 35 巻 3 号 p. 279-287

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抄録

本研究では中学2年生を対象とした数学の実験授業を行い,テストの結果をフィードバックする際にルーブリックを提示することが学習者に与える影響について,その影響メカニズムと,ルーブリックの各評定値に該当する具体的事例を提示することの効果について検討した.その結果,ルーブリックを提示された群は,提示されなかった群と比較して,「改善(自身の理解状態を把握し学習改善に活用するためのものであるという認識)」テスト観や内発的動機づけが高く,理解を指向して授業を受ける傾向にあり,事後テストでも高い成績をおさめた.また,ルーブリックが効果的に機能するのは,理解度確認や学習改善を目的にテストを実施することに納得するなど,インフォームドアセスメントが高い水準で達成されることが背景にあると示唆された.さらに,本研究で用いたような数学の文章題では,具体的事例の効果がみられないことが示唆された.

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© 2011 日本教育工学会
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