全86国立大学に対し,障害者を対象とした公開講座の実施状況について質問紙調査を実施した.回答のあった55大学中,障害者のみを対象とした公開講座の実施はわずかに6大学であった.また障害者を明確に対象としていないが受け入れたのは19大学であった.受講者のほとんどは身体障害者であり適切な支援がなされていた.大学は障害者にとっての生涯学習の場として期待されており,そのため大学資源の有効活用,講座内容が専門の教員と特別支援教育等を専門とする教員との連携,受講者の興味関心や学びのニーズをふまえた内容などについて検討する必要性がある.またどのような公開講座においても大学側は障害者の受講も想定しておくこと,受講希望者に対しては受講前から相談に応じてニーズの把握につとめたり,専門性のある教職員などとの連携のもと人的・物的な支援を整えるなど,障害のある受講者が満足できる講座づくりをおこなうことが求められよう.