2017 年 40 巻 4 号 p. 325-336
本研究では,国際交流学習を実践する教師と交流相手や授業実践を支援する組織,コミュニティなどの連携者の間に生じるズレを明らかにすることを目的とする.日本の私立K小学校とインド・ビハール州のNGOが運営するN学校との国際交流学習を事例とし,その事例における教師と連携者のつながりを文脈横断論の理論的枠組みから捉える.事例に関わる会議メモ・メール・スケジュール調整の経緯,および,教師へのインタビューを定性的に分析した.分析の結果,教師は「大学生との経験の違いによるズレ」と「学校外の活動参加へのズレ」の2つを認識したことがわかった.前者のズレに対して教師は,連携者がK小学校の活動にアクセスできるような手段的横断の環境をつくり連携者の役割を再構築させること,後者のズレに対しては教室と学校外の活動を行き来する状況間移動をするなかで,学校外の活動参加の意味を連携者とともにつくりズレを調整していたことがわかった.