本研究の目的は,ラーニングコモンズにおいて正課外の主体的な学習活動へと参加する学生を対象として,その活動への参加プロセスを明らかにすることである.対象事例大学において取り組まれているプロジェクトと呼ばれる学生の主体的な学習活動に参加する13名の学生を対象に実施したインタビューを分析した.分析の結果,①ラーニングコモンズの学習環境と結びついたプロジェクトへの参加,②活動過程を通した参加度の高まり,③プロジェクトへの参加に伴う不安,という参加のプロセスが見られた.ラーニングコモンズの多くは正課教育と結びついた図書館の改善を企図したものが多く,本研究の結果をそのままラーニングコモンズ一般に適応することはできないが,主体的な学習活動を促す際の知見となる.