本研究の目的は,公立高等学校英語科教育の研修成果を所属校で活用・普及する際の様相とその社会文化的要因を明らかにすることである.A県~D県の公立校計20名の英語科教諭に半構造化インタビューを実施し,学校文化論の観点から分析結果を考察した.その結果,個人授業内活用に加え,同じ学年のクラスへと普及する水平の広がりを示すパターンと別の学年へと普及する垂直の広がりを示すパターンが確認された.また,社会文化的要因については,足並みをそろえるという学校制度文化からの働きかけとそれとは相反する個人主義的な教員文化が入り組む形で作用していることや,同じ学年内での広がりを生むためには担当者同士の議論と合意や正統な理由付けなどが必要になる可能性が示唆された.