2024 年 48 巻 3 号 p. 571-584
新型コロナウイルス感染症の拡大後,休園中でも幼児の教育を継続するためにICT (Information and Communication Technology) を活用した遠隔での教育実践が実施された.遠隔での教育実践は,対面で行うことが難しい幼児への支援として今後も実施されると予測される.そこで本研究では,遠隔で実施した絵本の読み聞かせについて報告する.本研究では,遠隔での読み聞かせの実践方法と,読み聞かせに対する読み手と幼児の発話を報告する.読み聞かせは,保育者養成課程に所属する短期大学生が12名から13名の幼稚園児に対して行った.読み聞かせは遠隔だけでなく対面でも実施し,両場面の発話について比較を行った.その結果,遠隔場面の読み聞かせでは,読み手の発話により幼児が発話する様子が観察できたものの,対面場面に比べ交流を示す発話は少なかった.この要因について今後より詳細な検討が必要である.