論文ID: 40104
本研究では教室内の言語調整の練習を支援するシステムT3 を開発し,T3 を使用した教授が 日本語教育の実習生(実験参加者)にどのような効果をもたらすか,意識と言語使用の観点か ら検討した.大学の日本語教員養成課程に日本語教授法という実践を重視し,模擬授業を行う 科目がある.その科目の履修者を対象に,通常の授業の中でT3 を用いた教授を受ける群(T3 群)と受けない群(NT3 群,補完授業あり)を作り,両群に質問紙調査及びティーチャートー ク・テストを実施し,実習生の言語調整に対する意識,ティーチャートーク・テストにおける 想定発話の適切さ及び,言語的変化を測定,分析した.その結果,質問紙調査ではT3 群にお いて,教授上のジェスチャーに対する意識が有意に向上した.また,ティーチャートーク・テ ストから,T3 群の想定発話文において,対象の学習者にとって既習の語彙及び既習の文型の比 率が増加し,言語調整の適切さも向上することが示された.