論文ID: 44047
本研究の目的は,統計情報の内容を適切に解釈する統計的リテラシーの授業において,どのような批判的思考に関する学習や指導が含まれているのかを明らかにすることである.そのために本研究では,ニュージーランドの統計的リテラシーに関する単元であるEvaluate statistically based reports (ESBR)の授業を分析した.授業で用いられていた教材と授業での発話を分析した結果,ESBRは多面的な視点からレポートを読み取れるように,様々な統計の学習が展開されていることが考察された.また,ESBRの「非サンプリングエラー」と「観察研究と実験研究」の授業での,レポート内の統計に関する情報や,データや調査結果から導出された主張およびその根拠について妥当性・信頼性を判断するといった際の学習や指導に,「多面的な検討・評価」と「確かな証拠や文脈,価値などに基づいた判断」における批判的思考を含むことが考察された.