論文ID: 45089
本研究では,文系学部の初年次大学生を対象とした日本語版Computational Thinking尺度を作成し,妥当性と信頼性の検討と,CTの性差および特徴について検討を行なった.研究1では,大学生511名に調査を行い,「創造性」,「アルゴリズム的思考」,「協調」,「批判的思考」,「問題解決」の5因子21項目モデルにおいて,χ2(179)=877.29,GFI=.85,AGFI=.81,CFI=.86,RMSEA=.09,AIC=981.29,BIC=1201.58の適合度と,.65から.92のαが示された.基準関連妥当性の検討では,ISTE and CSTAのCTとの相関がr = .69(p <.01),CASのCTとの相関がr = .54(p <.01)となった.研究2では,大学生20名について再検査信頼性を確認した結果,r = .81(p <.01)となった.研究3では,大学生127名の結果から,.77から .93のαが確認され,日本語版CT尺度において,原尺度と同様の5因子構造と,一定の妥当性および信頼性が確認された.研究3では,得点差を検討した結果,高得点群,低得点群,中間得点群の3クラスタに分類でき,中間得点群の特徴が確認された.