論文ID: 47085
本研究では,1)普段の学習における方略使用度と定期テストに向けた学習における方略使用度の関連,2)方略の有効性の認知と方略使用度との関連について検討した.方略の有効性の認知については,学習有効性(学習内容を理解することを目的としたときの有効性の認知)と,テスト有効性(テストで良い点数をとることを目的としたときの有効性の認知)の2つに着目した.高校生201名から得られたデータについて,個人内相関係数の分布を検討した結果,普段の学習と定期テストに向けた学習における方略使用度が異なる生徒が一定数存在することが示された.次に階層線形モデルによる分析の結果,いずれの学習場面においても,学習有効性とテスト有効性は,方略使用度と同程度の正の関連を示した.また,これらの関連は生徒によって異なることが示されたため,達成目標の違いにより生徒による差異を説明できるか検討した結果,調整効果はほとんどみられなかった.