論文ID: 47110
本研究の目的は,IDの学修が,数学科教職課程学生の学習指導案へどのように盛り込まれるのか,IDの学修を通して,TPACKに関わる能力は育成されるのか,数学指導不安感は解消されるのか,またそれらの関係を明らかにすることである.A大学理学部の数学科教職課程学生81名を対象に,学習指導案の評価と質問紙による自己評価を行った.分析の結果,IDを学修した数学科教職課程学生は,TPACKのすべての構成要素の自己評価が向上したが,数学指導不安感は変容しなかった.また,学習指導案に,練習の機会をつくる工夫を反映するほど,PK,TK,PCK,TCK,TPCKの自己評価が高いことや,フィードバックを与える工夫を反映するほど,TPKの自己評価が高いことがわかった.さらに,数学科教職課程学生のCKが高いほど,学習指導案に前提知識を思い出させる工夫を反映しないこと,教員自身に関する数学指導不安感が高いことが明らかとなった.