論文ID: 48039
女性の理工系人材が少ない原因として女性に関するステレオタイプの影響が指摘されている.本研究の目的は,文理融合型学際系学部の女子学生が就職活動時にもつ「文系」「理系」の自己認識と,それに基づく進路選択の傾向を明らかにすることである.半構造化インタビューを行い,質的研究法のTEAで分析した結果,本研究対象の女子学生は学際系学部で多様なSTEM型の教育を受け,学生によっては文系から理系的なゼミに進んだにもかかわらず,就職活動期にはその強みを認識できず,自分を従来型の学部同様の文系に位置づけていた.理系か文系かの選択肢しかないことや周囲からの理系の就職先の提示の少なさという外的要因が,女子学生を自ら文系と位置づけさせ,女子は文系というステレオタイプを助長させる要因になっていることが示唆された.