日本食品化学学会誌
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高 β グルカン大麦ご飯の長期摂取が高齢者の血中コレステロール濃度に与える効果
谷口 啓子小前 幸三吉岡 藤治曽根 良昭
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2022 年 29 巻 1 号 p. 43-51

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抄録
大麦 β グルカンを多く含むもち麦 “ キラリモチ ” を 3 割含む麦ご飯を血清糖化ヘモグロビン濃度が比較的高い調査参加高齢者が毎日の 3 食の主食として 6 か月間摂取する調査を行った。参加者 1 人の平均麦ご飯摂取率は約 70%、1 日当たりの大麦 β グルカン摂取量は平均 2.1 g であった。参加者 35 名の大麦ご飯を摂取する 1 年前、摂取開始直前、摂取開始後 6 か月後の 3 つの時点での血清 LDL コレステロールと HDL コレステロール濃度を対応のある 1 元配置の分散分析で統計解析したところ、血清 LDL コレステロール濃度の高い(境界域高 LDL コレステロール血症、高 LDL コレステロール)グループでは大麦ご飯摂取後で LDL コレステロール、HDL コレステロール濃度に有意な減少が観られた。LDL コレステロールの低いグループ(120 mg/dL 未満)では両コレステロールの濃度に有意な変化は観られなかった。参加者全体の HDL コレステロール濃度の平均値・中央値である 64 mg/dL 以上、未満の 2 つのグループに分けて HDL コレステロール濃度の 3 つの時点での変化を検討したところ、HDL コレステロールの高いグループでは大麦ご飯摂取後有 意に減少し、低いグループでは有意な変化は観られなかった。これらの事からもち大麦(キラリモチ)の長期間摂取は 高LDLコレステロール血症高齢者の血清LDLコレステロール濃度を下げる方法の一つとして有効であろうと思われる。
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© 2022 日本食品化学学会
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