森林立地
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落葉広葉樹混生林を構成する数樹種の間伐による肥大成長と材質への影響
戸田 清佐富田 守泰高田 秀樹
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1996 年 38 巻 1 号 p. 28-34

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抄録

岐阜県荘川村の落葉広葉樹混生林に設定した間伐試験地で,間伐後18年経過したところで間伐強度が肥大成長と材質におよぼす影響について議論した。主要構成樹種であるクリ・オオヤマザクラ・ホオノキとその他の樹種について,間伐後の成長を解析したところ,樹種や径級によって間伐効果に違いのあることがわかった。間伐後の直径成長率は,小径の個体ほど大きかった。クリやオオヤマザクラなどのように間伐効果が現れやすい樹種とホオノキ,トチノキなどのように,その効果が現れ難い樹種が存在することがわかった。間伐によって肥大成長が促進された個体とそうでないものの材質について検討した結果,環孔材のクリについては,気乾密度と曲げヤング係数が,平均年輪幅と正の相関を持つことがわかった。散孔材のオオヤマザクラとホオノキでは,材の気乾密度も曲げヤング係数も,平均年輪幅が大きくなるといくぶん値が低下することもあるが,年輪幅と材質とはほとんど無相関であった。今回解析した3樹種では,間伐によって年輪幅が広くなっても材の強度が著しく低下したと考えられる事例は認められなかった。

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© 1996 森林立地学会
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