森林立地
Online ISSN : 2189-6275
Print ISSN : 0388-8673
ISSN-L : 0388-8673
奄美大島マングローブ林の植生と立地の関係およびメヒルギ林の炭素蓄積量
石原 修一藤本 潔川西 基博渡辺 亮田中 伸治
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 46 巻 1 号 p. 9-19

詳細
抄録

奄美大島住用川・役勝川河口に成立するマングローブ林において,植生と地形環境との対応関係を明らかにするため,2本のトランセクト沿いに地形断面測量と植生調査を行った。また,トランセクト付近の3地点に調査区を設置し,地上部および地下部炭素貯留量の見積もりを行った。マングローブ林として,メヒルギ群落とオヒルギ群落,バックマングローブ林として,サキシマスオウノキ群落が認められた。河岸側前縁部の地盤が低い立地にメヒルギ群落典型下位群落,その背後にメヒルギ群落オヒルギ下位群落もしくはオヒルギ群落典型下位群落,最高高潮位よりも低位なアナジャコ塚上にオヒルギ群落シマシラキ下位群落,最高高潮位よりも高位にまで発達した塚上にサキシマスオウノキ群落が成立しており,微地形に対応した群落タイプの違いが見られた。メヒルギ群落は地盤高-10.0cm〜56.3cm,オヒルギ群落は31.5cm〜100.5cmの範囲に成立していた。よって,メヒルギの分布域がオヒルギよりも低位にあることが明らかになった。3地点から得られたメヒルギ林の地上部炭素貯留量は14.3〜36.6tC/ha,深度70cmまでの地下部炭素貯留量は97.2〜111.2tC/haで,それぞれ,熱帯のマングローブ泥炭が堆積するRhizophora林の10〜20%,20〜30%であった。このように,メヒルギ林の地下部炭素貯留量は,地上部炭素貯留量よりも大きく,他のマングローブ種同様,メヒルギ林においても地下部が炭素貯留の場として重要な役割を担っていることが明らかになった。

著者関連情報
© 2004 森林立地学会
前の記事 次の記事
feedback
Top