2020 年 62 巻 2 号 p. 73-80
暗所保管によってスギコンテナ苗の伸長成長を停止できるが,育苗技術として確立するためには光合成生産が長期間できないことが,苗木に与える影響を明らかにする必要がある。本研究では,5月から8月にかけて週2回の頻度で潅水を行いながら4週間もしくは8週間の暗所保管を行った1年生スギコンテナ苗と暗所保管を行っていないコンテナ苗(対照区)について,植栽後の細根伸長経過を比較した。暗所保管によって植栽後の細根伸長の開始が遅れること,植栽後28日目には,細根伸長量に処理区間差がなくなることが明らかになった。また非常に乾燥した土壌条件での生残率は,対照区の供試苗の方が高かったが,対照区の供試苗も乾燥した土壌条件では細根伸長できなかった。暗所保管による伸長成長制御を行う場合には,暗所保管に伴う苗木への負の影響について考慮する必要があることを指摘した。