森林立地
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論文
林相の異なる小面積植生パッチから成る森林における哺乳類の生息地選択性評価
長井 宏賢 五十嵐 秀一高橋 花甫里市栄 智明
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2020 年 62 巻 2 号 p. 81-89

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抄録

高知大学演習林において,林相の異なる複数の小面積植生パッチが近接して形成される森林に生息する哺乳類相を把握し,主要種の生息地選択と植生との関係性を評価した。2011年~2016年の期間,自動撮影カメラを用いて哺乳類を撮影し,各種哺乳類の撮影頻度を算出した。調査地周辺の山林を5つの林相で区分した林相図を作成し,主要な出現種の撮影頻度を応答変数,カメラ設置地点から最寄りの各植生パッチまでの距離と面積を説明変数として,部分最小二乗回帰分析(PLSR)により哺乳類の生息地選択性を評価した。撮影画像を解析した結果,調査地周辺には,タヌキ,イノシシ,ニホンノウサギを主として少なくとも13種の哺乳類が生息することが判った。また,これら主要3種は生息地の選択特性が明確に異なり,タヌキは落葉広葉樹林パッチの面積が広く,皆伐地・草地パッチの距離が近いほど,イノシシは常緑広葉樹林パッチの面積が広いほど,ニホンノウサギは皆伐地・草地パッチの面積が広く,距離が近いほど撮影頻度が高かった。哺乳類は,食性を含めた種毎の生態的な特性により,選択する植生パッチやその植生への依存の程度が異なるため,広葉樹林や皆伐地・草地など林相や面積の異なる植生パッチを針葉樹人工林の近隣に配置する施業を行うことで,各種哺乳類の生息に適した環境が形成される可能性が示唆された。

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© 2020 森林立地学会
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