2022 年 64 巻 1 号 p. 23-29
ネット防護柵を設置したスギ・ヒノキ再造林地において防護柵内に侵入したニホンジカによる食害の実態を明らかにするため,植栽木の被害調査をおこなった。スギ植栽地18か所,ヒノキ植栽地27か所で幅2 m長さ50 mの調査区(100 m2)を設置し,植栽木の本数,樹高および被害状況を記録した。スギは調査本数の23.3%に被害がある一方,ヒノキは44.6%に被害があり,特に樹皮剥ぎ被害が多かった。健全木が100 m2あたり15本未満の調査地は,スギで22.2%(4カ所)である一方,ヒノキは55.6%(15カ所)で,そのような場所は平均樹高も低く経済的に成林できない可能性があると考えられた。造林地の傾斜角が急になるほど,またシカ密度が高いほど健全木が少なくなる傾向が認められ,そうした場所では防護柵の設置・保守に特に気を付ける必要がある。