都市近郊の放置林の植物多様性保全を目指した管理手法の1つとして,人工ギャップ形成の効果について評価することを目的に,針葉樹人工林6箇所,常緑広葉樹林と夏緑広葉樹林各2箇所において,10 m四方の試験区を設けて上層木のみをすべて伐採し,伐採前と伐採後10年間の林分再生と植物種構成の経年変化を調査した。その結果伐採後10年間で,大半の試験区で最上層または下層で常緑広葉樹が卓越する再生パッチが形成された。出現種数の経年変化をみると,どの試験区も伐採直後は種数が増加するが伐採後2~5年でピークに達し,その後減少に転じた。種構成の経年変化を見ると,生活形では夏緑種,生育環境区分では非森林生の種数の一時的な増加が目立った。植物多様性の観点から人工ギャップ形成の効果を評価すると,伐採面積が小さいので林分全体から見ると多様性保全に対する効果は局所的で,かつ一時的であった。今後検証する必要があるが,この結果から人工ギャップ形成後再生パッチの種数がピークとなる2~5年の頻度で,対象林分内で新たに人工ギャップ形成を継続的に繰り返すことによって,林分全体で非森林生の種を含む多様な種を維持できる可能性が考えられる。