日本森林学会誌
Online ISSN : 1882-398X
Print ISSN : 1349-8509
ISSN-L : 1349-8509
論文
雑草木による樹冠被圧がカラマツ植栽木の生残および初期成長に及ぼす影響
原山 尚徳 津山 幾太郎倉本 惠生上村 章北尾 光俊韓 慶民山田 健佐々木 尚三
著者情報
ジャーナル フリー
電子付録

2018 年 100 巻 5 号 p. 158-164

詳細
抄録

カラマツ植栽木の生残や初期成長に対する,雑草木による樹冠被圧の影響を明らかにするため,裸普通苗,裸大苗およびコンテナ苗を植栽したカラマツ再造林地で,植栽から3年間,合計288本の植栽木の樹高,直径,樹冠被圧状態を調査した。雑草木からの樹冠被圧は3年とも低い順に裸大苗,裸普通苗,コンテナ苗であり,植栽時の苗高の違いを反映していた。下刈りした植栽当年では,生存率は樹冠被圧状態に影響を受けず,樹高成長は植栽木の樹冠が完全に雑草木に覆われたときのみ低下した。無下刈りとした2,3年目では,生存率は樹冠表面積が75%以上被圧された場合,樹高成長は50%以上被圧された場合に有意に低下した。樹冠被圧影響を加味した植栽3年間の生残,成長の最適モデルから,雑草木の種類や苗種によらず,植栽から3年間樹冠表面積が75%以上被圧されると,植栽3年後の生存率は約6割に減少し,樹高が91~100 cm低くなると試算された。これらの結果から,カラマツは雑草木からの被圧の影響を受けやすく,雑草木の被圧を樹冠表面積の75%より低く保つ様に下刈りする必要があり,大苗の植栽は下刈り費用削減に有効であることが示唆された。

著者関連情報
© c 2018 一般社団法人 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top