低コスト育林を目指してスギ・ヒノキ苗を植栽した試験地において,どんな苗木が活着率や樹高成長量において優位性があるのか検討した。近畿,中国,四国地方の13地域で実生と挿木からなる裸普通苗,裸大苗(苗高60cm以上),コンテナ苗,ポット苗,セラミック苗を植栽し,5年後(一部4年後)の活着率,樹高成長量を比較した。スギ実生大苗が最も樹高成長量が大きく,挿木苗は実生苗より有意に樹高成長量が小さかった。ヒノキセラミック苗は他の苗木より活着率が低く,ヒノキ裸普通苗よりも有意に樹高成長量が小さかった。スギを対象とした一般化線形混合モデルによる分析では,苗木の由来(実生,挿木),苗木タイプ(裸苗,コンテナ苗,ポット苗)と下刈り回数がスギの樹高成長量に影響していた。スギ大苗は初期サイズが大きい上に成長が早いため下刈り省力につながる可能性がある一方で,植栽コストがかかるため導入には道から近いなどの条件が必要である。