日本森林学会誌
Online ISSN : 1882-398X
Print ISSN : 1349-8509
ISSN-L : 1349-8509
短報
低コスト育林を目指した植栽試験におけるスギ・ヒノキ苗の活着率と初期成長
酒井 敦 北原 文章山中 啓介三島 貴志岩田 若奈島田 博匡奥田 清貴中島 富太郎山下 由美子藤井 栄渡辺 直史鷹野 孝司
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 101 巻 2 号 p. 94-98

詳細
抄録

低コスト育林を目指してスギ・ヒノキ苗を植栽した試験地において,どんな苗木が活着率や樹高成長量において優位性があるのか検討した。近畿,中国,四国地方の13地域で実生と挿木からなる裸普通苗,裸大苗(苗高60cm以上),コンテナ苗,ポット苗,セラミック苗を植栽し,5年後(一部4年後)の活着率,樹高成長量を比較した。スギ実生大苗が最も樹高成長量が大きく,挿木苗は実生苗より有意に樹高成長量が小さかった。ヒノキセラミック苗は他の苗木より活着率が低く,ヒノキ裸普通苗よりも有意に樹高成長量が小さかった。スギを対象とした一般化線形混合モデルによる分析では,苗木の由来(実生,挿木),苗木タイプ(裸苗,コンテナ苗,ポット苗)と下刈り回数がスギの樹高成長量に影響していた。スギ大苗は初期サイズが大きい上に成長が早いため下刈り省力につながる可能性がある一方で,植栽コストがかかるため導入には道から近いなどの条件が必要である。

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top