材に節や変色がなく長さ4mの通直材を生産目標としたセンダンの管理手法を提示するために,適切な植栽密度および枝打ちの実施時期について検討した。植栽密度3,000本ha-1のセンダン人工林において植栽3年後に枝打ちを行い,その4年後に枝打ちした枝基部の巻込みおよび変色の状況を調査した。枝径2cm未満では,1年で巻込みが完了し変色は生じなかった。一方,枝径2cm以上では,巻込みに2年以上を要し,78~100%で変色が確認された。次に,枝打ちを実施しない3段階の植栽密度区(3,000,5,000および7,000本ha-1)を設定し,植栽3年後の地上高0.2~5.2mにおける枝の着生状況を調べた。いずれの密度区とも1個体当たりの総枝数(生枝+枯枝)は概ね10本であり,着生部位は各年の梢端部付近に集中した。また,低密度区では,変色の原因となる枝径2cm以上の割合が高かった。センダンは低密度で植栽すると幹曲りの可能性が高まることからも,目的とする材の生産には,植栽密度を5,000本ha-1程度とし,樹高が4.5mを超えかつ枝径が2cm未満である植栽後2年以内に枝打ちを完了することが重要であると考えられた。
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