2019 年 101 巻 5 号 p. 246-252
2024年の森林環境税導入に先駆け,2019年度から森林環境譲与税の自治体に対する交付が開始される。国と市町村が主軸となる森林環境譲与税だが,実際には都道府県にも影響を及ぼす。第一に,森林環境譲与税は都道府県にも配分され,市町村の支援を促すよう制度設計されている。第二に,森林等の保全を目的とした37の府県の既存の超過課税との関係性が問われる。そこで本研究では,37府県を対象とし,質問票および聞き取り調査の結果を基に,森林環境譲与税導入の影響を分析する。特に導入前後での市町村への支援政策と組織形態の変化に着眼した。結果,市町村支援に関しては,「森林所有者の意向調査の支援」等に重点が置かれ,組織的な変化については,環境譲与税(と関連する経営管理制度等)の名目で担当者を増加させた府県が5割程度存在した。既存組織の名称の変更や,環境譲与税担当部署の新設も把握された。また,1県では条例レベルで県・環境税の使途の中身を改定していた。