日本森林学会誌
Online ISSN : 1882-398X
Print ISSN : 1349-8509
ISSN-L : 1349-8509
論文
本数密度と胴枯病がウルシ萌芽木の成長に及ぼす影響
田端 雅進 小谷 二郎石井 智朗井城 泰一白旗 学
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 101 巻 6 号 p. 322-327

詳細
抄録

ウルシ萌芽木の成長に及ぼす本数密度と胴枯病の影響を明らかにする目的でウルシ林伐採後の萌芽更新地に密度調整区(対照区,1,600 本/ha区,3,000 本/ha区,6,000 本/ha区)を設置し,密度調整後2年間にわたり樹高,地際直径および胴枯病被害を調査した。調査の結果,地際直径成長量において有意な差が認められ,1,600 本/ha区が他の区に比べ,2年間を通して成長が良好となる傾向がみられた。密度調整区や対照区において胴枯病が発生し,主に枯死,再萌芽,癌腫の三つの症状が確認された。全萌芽木における胴枯病の被害率は49.6%であった。1,600 本/ha区は再萌芽が少なく,本数密度が小さかったために成長量が大きかったと考えられた。以上の結果から,ウルシの萌芽更新後の本数密度は,胴枯病がみられた場合罹病木を除去し,1,600 本/haに誘導することが有効であると考えられた。

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top