日本森林学会誌
Online ISSN : 1882-398X
Print ISSN : 1349-8509
ISSN-L : 1349-8509
論文
時系列Landsat画像を用いた九州本島における毎年の伐採推定
志水 克人 太田 徹志溝上 展也
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 102 巻 1 号 p. 15-23

詳細
抄録

時系列Landsat画像を用いた伐採推定の利用可能性を明らかにするため,九州本島における毎年の伐採面積と時空間的分布を推定し,その精度を評価した。毎年のLandsat画像から変化推定アルゴリズムを用いて変数を計算し,各年の伐採,その他の森林攪乱,森林のまま,その他の土地被覆変化に分類した。精度評価には衛星画像・地上調査・行政資料を用いた。1985から2017年の間で伐採面積は年平均7426.5 haと推定され,近年増加傾向だった。精度評価では,衛星画像の目視判読を用いた場合,全体精度が95.2%(95%信頼区間:±0.5%),伐採のProducer’s accuracyは83.1%(±2.9%),User’s accuracyは93.8%(±0.9%)だった。地上調査を用いた場合,地上調査で確認された伐採跡地の87.6%を推定できた。行政資料を用いた場合,国有林の皆伐面積と比較して2.6%過大推定であり,宮崎県の民有林針葉樹主伐面積と比較して30.5%過大推定だった。総合すると九州本島での伐採を一定以上の精度で推定でき,広域の伐採推定に時系列Landsat画像は有用であると考えられた。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top