日本森林学会誌
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論文
日本における森林計画制度の起源
山本 伸幸
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2020 年 102 巻 1 号 p. 24-30

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抄録

現代日本の森林管理に大きく影響を与える森林計画制度の起源を明らかにするため,1939(昭和14)年森林法中改正と敗戦後の連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)主導の占領期林政の2時点に焦点を当て,制度の形成過程とそれに携わった政策担当者らの言説を中心に分析を試みた。その結果,1939年森林法中改正は施業案制度を私有林にまで拡げるものであり,森林簿等の技術的仕組みを含め,現在の森林計画制度を用意した原点といえることが分かった。一方,1939年森林法中改正の評価については,特に戦時体制との関連で,政策担当者らの間でも分かれる。そのため,1939年森林法中改正の意義は戦後過小評価されてきた可能性がある。占領政策については,特にGHQ/SCAP文書中の「林業計画」が,森林計画制度成立の偶然を用意したことを指摘した。当時の政策担当者らの言説からは,占領政策との駆け引きの中で森林計画制度が成立し,戦後林政の中枢を占め続ける端緒となったことが明らかとなった。

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