日本森林学会誌
Online ISSN : 1882-398X
Print ISSN : 1349-8509
ISSN-L : 1349-8509
短報
モンテカルロシミュレーションによるコスト対効果に優れた下刈りスケジュールの検討
―鹿児島大学附属高隈演習林のスギ林分を事例として―
福本 桂子 太田 徹志溝上 展也吉田 茂二郎寺岡 行雄加治佐 剛西園 朋広細田 和男
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 102 巻 1 号 p. 38-43

詳細
抄録

コスト対効果に優れた下刈りスケジュールを明らかにするため,モンテカルロ法によるシミュレーションを行った。全64通りの下刈りスケジュールにおいて,下刈り終了時のスギ林分樹高と下刈りの累積作業時間を推定した。また,下刈り作業のコスト対効果の高さを表現するため,単位樹高成長当たりの作業時間を算出した。確実な下刈りの効果が確保されるか検証するため,スギ林分樹高・累積作業時間・単位樹高成長当たりの作業時間の変動係数を計算した。その結果,それぞれの変動係数は下刈り回数が3 回以上で小さくなる傾向がみられ,植栽後1,2 年目に下刈りを実施するスケジュールで単位樹高成長当たりの作業時間は小さくなった。以上のことから,下刈り回数は3 回以上で,かつ植栽後早い時期(1 年目または2 年目)に下刈りを実施するスケジュールで,コスト対効果が高くなることが示唆された。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top