2020 年 102 巻 2 号 p. 115-119
高齢・大径木化した雑木林を萌芽再生させるための条件を明らかにするために,本研究では,12年生から76年生までの幅広い林齢のコナラ林を対象に,環境要因(標高,傾斜)と株自体の要因(伐採時の林齢,株直径,伐採高,幹本数)の調査を行った。伐採から1~3成長期経過後に萌芽発生率,萌芽枝の発生本数,萌芽枝のサイズを調べ,これらに環境要因と株自体の要因が及ぼす影響を一般化線形混合モデルで調べた。伐採から3成長期が経過した後の萌芽発生率は林齢が高くなるほど低下し,40年生の林分で62%,50年生で46%,60年生で32%と推定された。伐採から3成長期が経過した時点では,伐採高が高く幹本数が多い株ほど,萌芽枝の発生本数が多くなった。また,林齢が高くなると萌芽枝の最大高と最大直径は小さくなったが,幹本数が多い株ほど,萌芽枝のサイズは大きくなった。全体として,60年生を超えると萌芽更新は難しいものの,40~50年生程度では萌芽が発生する可能性があり,その際,伐採株1株当たりの幹本数が成否を検討する指標となりうると考えられた。