2020 年 102 巻 2 号 p. 120-126
高性能林業機械を導入した事業体による素材生産割合が増す一方で,経営費に占める修繕費と機械購入費割合の高さが課題となっている。機械の稼働率を高め,機械経費を削減する方法を明らかにするため,宮崎県の素材生産事業体7社を対象に,修繕と機械更新の事業体戦略についてインタビューを実施した。修繕費削減には故障や事故等の発生抑制が求められ,稼働時間別に機械利用を考えた作業,および機械の丁寧な扱いが重要であった。自社での軽微な修繕作業やリース利用に付帯する保険加入も経営戦略となっていた。機械台数の多い事業体は,機械更新の仕組みを作り自己資金で定期的に更新をしていた。機械台数の少ない事業体では,補助金利用やレンタル利用も戦略となっていた。しかし,それぞれ中古売却の制限,長期利用時のコスト増が課題であり,機械の更新までの時間を伸ばし,機械更新の仕組み作りが重要であることが示唆された。