スギの非赤枯性溝腐病の枝打ちによる発生抑制効果を調べるために,同一林分内の同一個体に,枝打ち部と非枝打ち部を設定し,部位ごとの溝数を比較した。また,枝跡に存在する原因菌のチャアナタケモドキのDNAの有無を調べた。さらに,枝打ち時に殺菌剤を塗布することの効果についても調べた。その結果,枝打ち部の溝数は,非枝打ち部よりも有意に少なかったが,殺菌剤を塗布しない通常の枝打ち部位と殺菌剤塗布を行った枝打ち部位では,溝数に有意な差は見られず,枝打ち時に殺菌剤を塗布することの効果は期待できなかった。また,材内の枝跡を調べた結果,非枝打ち部は枝打ち部よりも高い割合で変色が見られ,チャアナタケモドキも存在することが分かった。これらの結果から,枝打ちは非赤枯性溝腐病の発生を抑制するために効果的であり,通常の枝打ちで非赤枯性溝腐病の発生を抑制できると考えられた。