シイタケ原木露地栽培におけるホダ木や子実体の放射性セシウム(Cs)濃度上昇の抑制を目的として,2012年に森林内で土壌のA0層を除去,2013年にホダ木を設置し,放射性Csの推移を5年間にわたり調査した。2017年における除去区のホダ木の平均放射性Cs濃度は,非除去区の68%であり,子実体の平均放射性Cs濃度は,非除去区の43%であった。非除去区ではホダ木の放射性Cs濃度が下部で高く,ホダ木からA0層に伸長した菌糸による放射性Csの吸収が示唆される。除去区では,A0層の放射性Cs現存量も減少し,放射性Csが林冠から供給された可能性があるにもかかわらず,その傾向は少なくとも除去から5年間は維持された。2017年における除去区のA0層の平均放射性Cs現存量は,非除去区の46%であった。以上の結果は,A0層の除去がシイタケの原木露地栽培における放射性Cs汚染の抑制に有効であることを示す。