日本森林学会誌
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短報
センダン群落の成因と生態的特性および伐採後の萌芽再生
髙山 勉 山瀬 敬太郎
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2021 年 103 巻 4 号 p. 279-284

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抄録

早生樹種として注目されているセンダンは,兵庫県では国内由来の外来種であり,近年,逸出して優占群落を形成している。そこで,同県内の砂防堰堤堆砂敷に成立したセンダン群落の成因と生態的特性を調査した。また,河川敷のセンダン群落において,伐採前後の構成樹種と現存量の変化を調査した。その結果,砂防堰堤のセンダン群落の成因は,近くに種子供給源があったこと,施工時のスギの伐採によって陽地が形成されたこと,センダンの競合種の定着と成長がニホンジカの採食によって阻害されたことであると考えられた。また,この群落では,ニホンジカの採食によりセンダン以外の高木種の定着が少ないため,耐陰性は低いものの,センダンの優占が当面続くと考えられた。河川敷のセンダン群落では,伐採前後いずれもセンダンとニワウルシが競合していたものの,伐採後の萌芽の発生・伸長による現存量の回復はニワウルシよりセンダンで早い傾向がみられた。

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