木質バイオマス発電所の操業下における北海道の製材工場の原木調達の実態を明らかにした。2018年7月から8月に製材工場137社に郵送アンケート調査を実施しカラマツ材およびトドマツ材を主体に挽く84社の回答を用いて分析した。調査の結果,北海道の製材工場の約8割が,原木の曲がりや腐朽などを組合わせた独自の調達基準を設定しており,トドマツを主体に挽く工場の68%,カラマツを主体に挽く工場の40%が特定の径級や長さ,材質の確保等で原木調達に困難を感じていると回答した。製材工場が調達する原木の約7割は国有林と民有林から直送方式で納品されていた。また原木の仕分け工程は素材生産事業体に担われていた。発電所5社に燃料向け未利用木材の集荷方法について電話調査を行った。製材工場の9割が工場より片道100 km圏域から原木調達するのに対し,発電所は中間土場などの拠点から最大で片道250 km圏内から広域に集荷しており,前者と後者の多くが重複することが示された。両者の棲み分けのためには,短期的には原木の仕分け工程の徹底が課題であり,地域全体で強化する方法を模索することが重要であると思われた。