日本森林学会誌
Online ISSN : 1882-398X
Print ISSN : 1349-8509
ISSN-L : 1349-8509
論文
バイオマス利用による収穫利益の変化が年供給量や必要補助総額に与える影響
守口 海 白澤 紘明
著者情報
ジャーナル オープンアクセス
電子付録

2021 年 103 巻 6 号 p. 435-442

詳細
抄録

熱供給・発電事業における木質バイオマスの利用が進むと,材積歩留まりや収穫木の平均単価,収穫・輸送費用が変化し,それに伴い,林業の収益性も変化すると予想される。そこで林業の収益性の変化が年供給量や年補助総額に与える影響を,補助林分の最適選定モデルを用いて分析したところ,次の結果を得た。①最大造林補助率を一定とする場合や年補助総額を一定とする場合は,収益性の改善に伴い造林補助を得て木材生産を行う林分が増加するため,年供給量が増加する。材積歩留まりの向上は,直接的な供給量の増加のほか,収益性の改善を引き起こすため,年供給量の増加率は材積歩留まりの増加率よりも大きくなる。また,最大造林補助率が一定の場合は年更新面積が増加するため,年補助総額は増加する。②年供給量を一定とする場合,収益性の向上により年補助総額は減少する。最適補助対象林分の選定において収穫・輸送費用よりも地位条件を重視するために,年更新面積も減少する。

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本森林学会

この著作はクリエイティブ・コモンズのライセンスCC BY-NC-ND(引用を表示し,改変せず,非営利目的に限定)の条件の元で再配布・二次利用が可能なオープンアクセスです。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top