2022 年 104 巻 1 号 p. 1-9
低コスト2周波GNSS受信機の測位正確度を検証するため,森林外10カ所,森林内21カ所において,1カ所当たり約7時間の静止測位+PPK解析と2分30秒間のRTK測位を行った。10 m以上の大きな誤差を除外したのちの林内における平均水平誤差は,静止測位+PPK解析,RTK測位でそれぞれ1.22,1.72 mとなり,有意差がみられた。静止測位+PPK解析では,3衛星システム(GPS+QZSS+Galileo)よりも4衛星システム(3衛星システム+GLONASS)の方が,また1周波(L1)よりも2周波(L1+L2)の方が水平誤差は小さかった。衛星の仰角マスク値が20,25,30,35°と大きくなるにつれて,大きな誤差の発生頻度は減少した。RTK測位では,float解よりもfix解の方が水平誤差は小さかった。林内における平均垂直誤差は,静止測位+PPK解析,RTK測位でそれぞれ2.12,2.49 mと,水平誤差よりも大きくなった。携帯電話網圏外では静止測位+PPK解析,圏内ではRTK測位で水平位置を決定したのち,近年整備が進む高精度標高データを利用して高さを決定するのがよいと考えられた。