2022 年 104 巻 3 号 p. 127-138
小型ガス化熱電併給(CHP)装置向け燃料流通における燃料乾燥体制を明らかにするべく,CHPを先駆的に導入した事例など全国で10事例を調査した。CHP導入事例における乾燥体制は,燃料乾燥の要となるチップ人工乾燥作業の実施場所,実施者によって6パターンに分類されたが,いずれにしても川下が主体となって燃料乾燥に取り組んでおり,生チップを購入しそれを人工乾燥する,あるいは,自社でチップを生産・人工乾燥していた。川中事業者を主体とする乾燥燃料の流通体制は,未整備といえた。川中事業者が乾燥に取り組む上では,乾燥コストの価格への反映等が最も重要な課題となっていた。この解決には,CHP事業者側で乾燥したチップを高く購入できるようCHP装置の排熱を外部に販売するべく熱需要を確保することが重要と考えられた。一方,地域内でのCHP装置の普及を図りたい主体による燃料供給体制整備や,主業である熱供給事業の余剰熱の有効活用を図りたいとする新しい取組が見られ,既存のチップ生産者が乾燥に対応できない場合は,そこが乾燥作業を担う体制も期待できると考えられた。