日本森林学会誌
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論文
小面積皆伐地に植栽した落葉広葉樹3種の初期5年間動態
伊東 康人 藤堂 千景山瀬 敬太郎山崎 理正
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2022 年 104 巻 3 号 p. 146-153

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抄録

針広混交林化の技術確立に繋がる知見として,兵庫県の小面積皆伐したヒノキ人工林にクリ,ヤマザクラ,コナラの落葉広葉樹3種を異なる密度(1,000,1,500,または2,000本/ha)と方法(単木混植または単植)で植栽し,植栽木の成長および生存に影響を及ぼす要因を調べた。3種の植栽木の成長量は,前年地際径および開空度の増加に伴い増加し,土壌含水率の増加に伴い減少していた。生存率に関しては,前年地際径の増加に伴い3種とも生存率が増加し,開空度の増加に伴いクリでは生存率が増加,ヤマザクラ,コナラでは生存率が減少していた。コナラ単植プロットでは,地形の異なる調査地間で5年目の地際断面積合計に大きな差がみられたのに対し,単木混植プロットでは単植プロットほどの差はみられず,植栽密度が高いほど5年目の地際断面積合計も大きくなった。植栽後5年間に関しては,環境応答性が異なる樹種を混植することで成長または生存できないというリスクが回避されること,検討した中では最も植栽密度が高い2,000本/haが最適であることが示唆された。

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© 2022 一般社団法人 日本森林学会

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