日本森林学会誌
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短報
閉鎖型育苗施設を活用したクリーンラーチ挿し木幼苗の通年生産の検証
伏見 愛雄 来田 和人
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電子付録

2022 年 104 巻 6 号 p. 336-342

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抄録

クリーンラーチ挿し木苗生産では,採穂数が少なく,発根率が安定せず,得苗率が低いため,供給が不足している状況にある。一方で,人工的に制御された環境下では採穂数が増大し発根率が安定することが明らかになっている。そこで,本研究では事業生産のプロトタイプとなる閉鎖型育苗施設を設置して通年で挿し付けを行った。人工環境下で挿し付けをし,発根後,緩行性肥料が含まれる培土を詰めたコンテナ容器に移植したのち,温室で順化,冬季に野外で越冬させた。その結果,1年間継続して挿し付けをしても発根率は月間で有意な差は認められず(逸脱度分析),年間平均で81.1%であり,通年で安定した発根率を示した。ただし,その移植後の成長は挿し付け時期によって異なり(分散分析),時期によって得苗率が低くなるため(23~90%),低温順化方法や施肥方法の改善が必要であった。

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© 2022 一般社団法人 日本森林学会

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