日本森林学会誌
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論文
集落人口を対象にしたコーホート分析の可能性
―新潟県上越市不動地区における集落合併の要因―
佐藤 周平 竹本 太郎
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2023 年 105 巻 12 号 p. 345-356

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抄録

人口統計分析を集落単位で行うことの必要性はたびたび指摘されてきたが,資料の不足により,研究事例が少ない。本稿の目的は,集落人口を対象にしてコーホート分析を行うことで,集落合併を集落人口の観点から考察するとともに,国勢調査を用いた集落人口分析の可能性を探ることである。新潟県上越市不動地区で2020年に行われた3集落の合併を分析対象として,以下の3点の結果を得た。(1)1965年から1995年の集落人口は国勢調査区を集落と読み替えることで把握できたが,2000年以降の集落人口は抽出できなかった。(2)1950年代に拡充された小学校に通った「独立校世代」は人口が多く,2000年代以降,少子化や小学校の閉校に対応した新たな結びつきを作ることを求められた。(3)地区の役員を務める60~70歳代の人口が2015年をピークに減少すると予想された。これらのことから,2020年の集落合併は,役員年代となった独立校世代が今後の人口減少を見越して敢行したことであると解釈された。今後の課題は,世代を形成する個人の具体的な履歴を紐解くことや,男女別の動向や社会移動を考慮に入れた集落人口分析の改良である。

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© 2023 一般社団法人 日本森林学会

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