森林変化や土地被覆変化マップなどの主題図には現実との相違がある程度含まれる。主題図を効果的に利用するためには,マップ分類がどの程度正しいかを表す精度を評価することが重要になる。本総説では,衛星データを用いて作成した森林変化マップの面積推定と精度評価における基本的な原則を整理し,精度評価の構成要素をSampling design,Response design,Analysisにわけ,それぞれで基準と推奨される手法を示した。また,精度評価を実施する上での留意点についても記述した。統計的に厳密な精度評価では,無作為抽出を基本とした確率抽出によりサンプルを抽出し,リファレンスデータとの相違を解析して,マップ分類の精度を推定する。精度評価と面積推定では,母集団誤差行列が中心的な役割を担う。サンプル抽出に対応した不偏推定量もしくは一致推定量を利用することで,精度と面積の推定値と信頼区間を算出し不確実性を示すことができる。精度評価の基本的な手法は確立されているが,より新しい手法も提案されている。精度評価では全てに対応する単一の手法はなく,目的に応じて適切かつ基準を満たす手法を選択する必要がある。