大学の森林科学の専門教育について,全国アンケート調査から専門教育課程のカリキュラムと科目の内容を分析した。調査は,旧林学科があった大学を含む26校の森林科学の教員を対象に2021年に行った。回答を得た24校(森林の専門学科8,森林のコース等10,その他6)では,30の教育プログラム(教育P)があった。森林科学の専門科目は,必修400科目(森林系200,林産系65,総合系135),選択714科目(森林系434,林産系177,総合系103)が挙げられた。必修で森林系と林産系の科目を開設する14大学と,必修で森林や林産の科目がない大学もあった。教育内容は,科目名から森林科学の内容(樹木・生理,生態,造園・立地,動物・昆虫・保護,防災・水文,利用,経営,林政,文化系,測量)と林産系の11分野に分けた。科目の開設状況は,Ⅰ)必修で7分野以上開設(12校),Ⅱ)選択を加えて7分野以上開設(10校11教育P),Ⅲ)科目・内容共に少ない(4校7教育P)だった。森林科学の多様な科目が開設されており,大学間で共通する必修の分野は見られなかった。森林科学の専門領域として内容の検討が必要と考えられた。