成長錐コアによる樹齢推定においては,特に大径木では心材腐朽などによりコアが髄を含まないことが多く,その場合には樹齢推定に大きな誤差を伴うことが知られている。髄を含まないコアから樹齢をその不確かさを含めて推定する方法として,推定過程の一部,すなわち髄の仮想的な位置と初期樹高成長速度の推定に確率論的な手法を用い,モンテカルロ法で得た樹齢推定値の分布から平均と95%包含区間を求める方法を試みた。北海道東部の広葉樹林内のミズナラ大径木15本と中径木6本の樹齢は,それぞれ198~436年,105~118年と推定され,その95%包含区間は,それぞれ18~96年,13~21年であった。不確かさの幅を考慮すると,サンプル木は4つの年齢グループで構成されると推察された。不完全なコアによる推定樹齢の情報からであっても,その不確かさの評価によって林分の過去の更新過程の議論がある程度可能であると考えられた。