日本森林学会誌
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論文
スギ若齢林の樹冠・定直径高管理図作成の試み
金澤 洋一清野 嘉之藤森 隆郎
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2009 年 91 巻 1 号 p. 21-26

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抄録
32のスギ若齢林分の調査資料を用い, 立木密度と定直径高, 枝下高の関係から樹冠・定直径高管理図の作成を試みた。胸高より上部の幹長を胸高直径Dで除した胸高上部幹長比と梢端から一定の幹直径x (定直径) までの長さである定直径長Lxを定直径xで除した定直径比との相関は, 数値のばらつきは大きいものの定直径が小さい場合には低く, 定直径が大きくなるにつれて高くなった。この関係は一次式で表すことができた。また立木密度から求める相対幹距SRと樹高Hを胸高直径Dで除した形状比には負の相関があり, 立木密度が高くなると形状比も高くなることを裏付けていた。SRと形状比の逆数D/Hの関係も一次式で近似できた。この二つの一次式からLxHと立木密度ρの関数として表し, この関係とすでに報告した枝下高の式から, 樹冠・定直径高管理図の作成を試みた。この図を利用すれば, 無節材や求める末口と長さをもつ材の生産のための密度管理, 風害や冠雪害などへの耐性の指標となる樹冠長率のコントロール等が期待できる。
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© 2009 一般社団法人 日本森林学会
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