日本森林学会誌
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短報
ヒノキ人工林において間伐施業が土壌動物の群集構成と個体数密度に与える影響
—三重県度会郡大紀町における事例—
高崎 洋子竹中 千里吉田 智弘
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2010 年 92 巻 3 号 p. 167-170

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抄録
ヒノキ人工林において, 間伐が林床の土壌動物相に与える影響を調査した。間伐され下層植生の繁茂する林分 (間伐区) と, 間伐がほとんど行われず下層植生の衰退した林分 (間伐遅れ区) において, 土壌動物の群集構成と個体数密度を比較した。両調査区のリター層と土壌層からサンプルを採取し, ツルグレン装置により土壌動物を抽出・分類した。その結果, 土壌動物の分類群数は, リター層・土壌層ともに間伐区よりも間伐遅れ区で有意に少なかった。また, 個体数で優占していたササラダニ亜目 (Oribatida), トビムシ目 (Collembola) の個体数密度は, リター層・土壌層ともに間伐区よりも間伐遅れ区で有意に低かった。以上の結果より, ヒノキ人工林では, 間伐施業の不足が土壌動物の群集構成を単純化させ, 個体数密度を低下させる可能性が示された。
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© 2010 一般社団法人 日本森林学会
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