日本森林学会誌
Online ISSN : 1882-398X
Print ISSN : 1349-8509
ISSN-L : 1349-8509
論文
高齢・高密度のアカマツ林の間伐は個体の成長を改善するか
正木 隆森 茂太梶本 卓也相澤 州平池田 重人八木橋 勉柴田 銃江櫃間 岳
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 93 巻 2 号 p. 48-57

詳細
抄録

林冠の閉鎖した94年生アカマツ人工林において, 間伐後8年間の個体の成長経過を同齢の無間伐林, 140年生天然アカマツ林と比較しつつ, 成長が改善されたか否か, 成長変化と相関する因子は何か, この人工林を天然アカマツ林のような大径木を含む林型に誘導できるか否か, を検討した。サイズは天然林 (DBH=68 cm, H=30∼35 m) の方が人工林 (DBH=41 cm, H=25∼30 m) よりも高い値を示した。形状比は人工林で50∼80, 天然林で40∼70だった。樹冠長率は人工林0.2∼0.4に対し, 天然林では0.25∼0.5だった。間伐により人工林の約4割の個体の成長が0.1 cm yr−1改善されたが, 無間伐林では逆に8割の個体の成長が低下した。個体の成長の改善度は, 隣接個体との競合環境の変化や, 樹冠長率など個体の着葉量の指標と連関していなかった。この人工林が140年生時に天然林のような大径木を含む林型に達するには, 今回観測された成長の改善では不十分である可能性が高いと考えられた。

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top