日本森林学会誌
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負の光屈性によるキヅタ匍匐シュートの伸長
加藤 正吾細井 和也川窪 伸光小見山 章
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2011 年 93 巻 3 号 p. 123-128

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抄録

付着根型つる植物であるキヅタ (ウコギ科) の匍匐シュートの伸長方向と光環境の関係を実験的に解析した。匍匐シュートに傾度のある光環境条件を与えた場合, 10 mm以上伸長したすべてのシュートで, キヅタは負の光屈性を示した。また, その負の光屈性は, シュートの先端が水平方向と垂直方向の光強度が均一に低下するような空間をめざして伸長するように生じていた。シュートの伸長量は光量の減少にしたがって低下したが, 20 μmol/m2/sという弱光環境においても負の光屈性は生じていた。つまり, キヅタの匍匐シュートの負の光屈性は, 単なる強光を避ける反応ではなく, 三次元空間的な光環境で暗所方向へ伸長する反応であった。この負の光屈性は, つる植物が林床の不均一な光環境下で, 支持体として有効な樹木を匍匐シュートによって探索する際に, シュート先端が登攀開始点となる暗い樹木の根元に到達する有効な生態的特性であると考えられる。

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© 2011 一般社団法人 日本森林学会
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